2011年に「人工知能が東京大学の入試問題を解けるか」というプロジェクトが発足しました。
通称”東ロボくん”で知られる人工知能は情報技術の進化につれて注目を集めました。
5年後の2016年、研究の結果が報告され「まだ東大には入れない」という結論に至りました。
コンピューターが囲碁や将棋などのプロに勝てるようになってきた途端、世間も驚いたことと思います。
これは、人工知能の抱える奥底の問題であらゆる場面に対応するためには、大量のデータが必要ということが要因でした。
今回の例においては、仮にビッグデータを用意すれば解ける可能性も上がりますが、データそのものを集めるのに、
莫大な費用がかかることが敗因でした。

研究チームによれば、この東ロボくんに英語の問題を解かせることを考えたところ一文を正しく処理する水準には達したものの、
滅多に出題されない表現の処理には弱かったそうです。
これには日本語にも会話の表現パターンが無数にあるのと同じく、これを学習させようとするならば、500億文は必要でした。
しかしその膨大なパターンを生成するための処理は困難で過去にもそのようなデータはありません。
そのため、ざっと見積もっても何百兆円もの費用がかさむことになり諦めざるを得ないと判断したようです。
また、この問題の他に一度しか出題されないという稀なパターンの処理が困難であることも敗因の大きな理由の一つです。
研究チームは東ロボの限界がAIに投資する際の参考になればと願っています。
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