あらまし
9月29日にNTTとNTTドコモは共同記者会見を開催し、日本電信電話株式会社(NTT持株)がNTTドコモに対し、TOB(株式公開買付け)を実施し、完全子会社化することを発表しました。
この取引により、NTTドコモが通信大手の中で寡占状態になるのですが、そもそもなぜこのような決断に至ったのか、これからの日本の通信業界はどうなっていくのか、簡潔に説明していきます。
菅内閣がきっかけ?
菅内閣の誕生に際してデジタル改革を推進することを目玉に掲げたことで、その大きな柱である通話料金の引き下げの実現に向け各社が対応を迫られています。
通信大手各社の株価は菅政権が方針を打ち出した後に軒並み株価が下がってしまい、9月18日には終値ベースで約1年ぶりの安値を付けています。
このような事態を危惧したことも完全子会社化の理由の一つではありますが、実は別の理由も含まれています。
その理由とは
それは、NTTドコモを再び日本通信業界の中心に置くことです。
もともと民営化の流れで創設されたNTTですが、実際のところは半民営という言葉がふさわしいような資本関係にあり、政府寄りの企業になるわけですが、海外通信大手が躍進していく中で日本の通信大手はガラパゴスという言葉が生み出されたことからもわかる通り寡占状態となっており、内側では強いが外側には弱い業界になっています。
この状況を打破するには競争を強めるか、競争が起きないくらい大きな母体をつくり海外勢に立ち向かうことにあります。
国を挙げてバックアップする可能性も
菅内閣が推し進める携帯電話料金の引き下げは一見すると競争を強めるニュアンスになっておりましたが、実のところは巨大な半民営企業を再度つくりあげるというシナリオも見え隠れしてきております。
日本国民にとっては是か非か判断しがたいところではありますが、引き続き今後の動向を見届けていく必要があります。
5G時代と言われる現代ですが、これから6Gと業界のトレンドが変わっていく中で、果たして日本通信業界は世界に打って出ることはできるのでしょうか・・?
豆知識
ちなみに豆知識として知って頂きたいのは、「GAFA」という言葉です。
これは造語ですが、Google,Amazon,Facebook,Appleの頭文字をとっており、海外大手IT勢の中でも突出して巨大な企業のことです。
NTTドコモの子会社化はGAFAに対抗する手段としての決断でもあり、日本国内通信業界を独占したい、という思惑だけではないことを示すためのキーワードでもあります。
コメントを残す