2021年7月31日、ノーベル物理学賞の受賞者である京都大学名誉教授の増川敏英さん(81歳)が上顎歯肉ガンのため、京都市の自宅で死去。
「いちゃもんの益川」とも呼ばれた増川敏英さん
愛知県名古屋市の出身で学生時代から「いちゃもんの益川」と周囲から親しまれるほど、議論が大好きな物事を様々な視点から見る事ができる人物である。
増川敏英さんは日本の物理学者で、専門は素粒子理論。名古屋大学の素粒子宇宙起源研究機構名誉機構長かつ特別教授であり、他にも京都大学名誉教授や京都産業大学名誉教授および元益川塾塾頭など…研究での功績が讃えられている。
1979年に「基本粒子の模型に関する研究」で第25回仁科記念賞を受賞。その後も1985年〜1995年にかけて様々な賞を受賞している。2007年には欧州物理学会の高エネルギー・素粒子物理学賞を受賞し、翌年には南部陽一郎さん・小林誠さんと共にノーベル物理学賞を受賞している。
ノーベル賞の受賞後は「たいして嬉しくない」や「研究者にとって純粋な学問の追求こそが目的であり、賞を取る事が目的ではない」など…敢えて記者に対して素っ気ない対応をしていた。研究に対する信念が本当に強い方で、あくまでも賞は研究の副産物であるということを曲げなかった。
研究の他にも、選択的夫婦別姓制度に関して「多くの女性科学者にとって名前の継続性が求められることの多い選択的夫婦別姓制度を導入することを支持する」など、政治的な主張も行っている。
ノーベル賞の歴代受賞者
- 1949年:湯川秀樹さん(ノーベル物理学賞)/日本人初の受賞者&史上最年少で文化勲章を受賞
- 1965年:朝永振一郎さん(ノーベル物理学賞)
- 1968年:川端康成さん(ノーベル文学賞)/日本人初の受賞者
- 1973年:江崎玲於奈さん(ノーベル物理学賞)
- 1974年:佐藤栄作さん(ノーベル平和賞)/日本人で唯一の受賞者
- 1981年:福井謙一さん(ノーベル科学賞)
- 1987年:利根川進さん(ノーベル生理学・医学賞)
- 1994年:大江健三郎さん(ノーベル文学賞)
- 2000年:白川英樹さん(ノーベル化学賞)
- 2001年:野依良治さん(ノーベル化学賞)
- 2002年:小柴昌俊さん(ノーベル物理学賞)
- 2002年:田中耕一さん(ノーベル化学賞)
- 2008年:小林誠さん・益川敏英さん(ノーベル物理学賞)
- 2008年:南部陽一郎さん(ノーベル物理学賞)
- 2008年:下村脩さん(ノーベル化学賞)
- 2010年:鈴木章さん・根岸英一さん(ノーベル化学賞)
- 2012年:山中伸弥さん(ノーベル生理学・医学賞)
- 2014年:赤崎勇さん・天野浩さん・中村修二さん(ノーベル物理学賞)
- 2015年:大村智さん(ノーベル生理学・医学賞)
- 2015年:梶田隆章さん(ノーベル物理学賞)
- 2016年:大隅良典さん(ノーベル生理学・医学賞)
- 2017年カズオ・イシグロさん(ノーベル文学賞)
- 2018年:本庶佑さん(ノーベル生理学・医学賞)
- 2019年:吉野彰さん(ノーベル化学賞)
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